ノートルダム寺院の前に7時。上野さんとの待ち合わせはまだ明るく、多くの人で賑わう観光スポットのど真ん中でした。
パリ視察報告第二弾は、パリ在住17年、日本とパリの両国で活躍する料理研究家/上野万梨子さんとご一緒した小さなビストロ訪問編です。
お店の名前は、“ribouldingue”。ノートルダム寺院からセーヌ川を渡ってすぐのところにある小さなビストロ。フランス料理の修業を積んだシェフがご自分のお店をということでオープンした、まだ新しい、上野さんが一度訪れたいと思っていたお店、とのこと。本場のビストロに現地の方と行けるとあって、ワクワクドキドキしながら上野さんの後ろをついて行きました。
店内は細長く、こじんまり落ち着ける雰囲気で、ジュリア・ロバーツばりのかわいらしい女性が親切かつフレンドリーに対応。最初の印象はまずまずです。私達が一番乗りでした。
肉食文化
本日のお勧め料理の説明を聞いた後、前菜とMain、デザートがたくさん書かれたメニューを渡され、そこから1品ずつセレクトするビストロスタイルでした。フランス語で書かれたメニューを上野さんが全て丁寧に訳してくださいました。牛すね肉の赤ワイン煮、鯖のソテートマトソースなどはよかったのですが、数あるメニューを聴いていくうちに、だんだん牛や豚の姿が頭に浮かんで…。というのは、豚の腺肉の煮込み、頬肉の蒸し煮、子羊の脳みそのソテーetc.すらっとしたパリジェンヌやマルシェに並ぶ新鮮な野菜を目にして、ついつい忘れていましたが、パリもれっきとした欧米文化=肉食文化の王道をいく街なのです。かえるやすずめといったものも普通にあり、食文化の違いを垣間見た一瞬でした。
日本でいうお通しとして運ばれた前菜は、豚の皮のゼリー寄せでした。食感としては鶏肉の皮に近く、コリコリでコラーゲンたっぷりといった感じ。とても美味しくいただきました。
上野さんは前菜に子羊の脳みそをソテーしたもの、Mainには鯖とトマトをグリルしたもの、私は前菜にリコッタチーズのラビオリスープ、Mainに牛すね肉の赤ワイン煮を頼みました。2人でシェアして味を確認。甲乙つけがたいほどどれも美味しく、ビストロを満喫できました。
ちなみに、子羊の脳みそは初体験でしたが、白子をさらにクリーミーにし、ふわふわのムースにしたような食感でした。口に入れる時は少々躊躇しましたが…。
ビストロ
美味しい食事と本場のワイン、そして、はずむ会話のなか、ふと回りを見渡すとお店は満席。わいわいがやがや、味といい場所といいどうやら人気店のようです。この雰囲気はまさにビストロ。
そもそも、ビストロとはフランス語で居酒屋という意味、アクセスのいい場所で気軽にちゃんとした料理を楽しめるリストランテを言うのだそうです。気取ったリストランテとは違い、大皿にめいっぱいの料理と気さくな店員さん、まさにパリっこの日常生活の一部を体験できました。
そして、この“ribouldingue”はどこか南仏の香りのするメニュー、すなわち野菜もお肉もお魚も煮込み料理にしたものが多く感じられました。
パリを訪れた時には、また是非行ってみたい一軒でした。
Text by AKO YABUTA |