フランスでは毎年10月の第3週に『味覚週間』が開催され、この期間、様々な食育イベントが各地で行われます。
当会代表の荒牧麻子は過去6年にわたりこの食育イベントを見学・取材しております。2007年は、味覚週間の視察に加え、味覚教育の権威であるジャック・ピュイゼ氏の研修も受講するという内容で、荒牧を含む総勢11名が、このピュイゼ・メソッドを体験すべくフランスへ行ってまいりました。
この美しいお城で5日間の研修が行われました。
研修が行われた場所はモンパゾン地方のChateauD’Artigny(シャトーダルティニー)。湖と森に囲まれたとても美しい、気品あふれるお城です。
「なぜ、味わうことを学ばなくてはいけないのか?」
子供の味覚を育てることの重要性と方法を、午前は講義、午後はパン作りや、野菜庭園・ワインカーブの見学など、体験実習を通して学びました。言葉・文字だけでなく、まさに実習です。
小学校で味覚の授業を18年行ってきた元教諭の講義では、実際に子供たちにどのような味覚教育をしてきたか、それを行ううえでの大切なことを教わりました。その講師は20年前、ピュイゼ氏による味覚の授業を受け、“ピュイゼ・メソッド”に大変衝撃を受けたそうです。そして、栄養でも保健でもない新しい授業“味覚教育”に目覚めたということです。
作ったパンはその日の夕食時に皆で味わいました。 |
ヴィランドリー城の野菜庭園 |
シノンのワインカーブ。カーブの中は一年を通して気温湿度が一定だそうです。 |
シャトーでの食事は、地元素材を使った、そこでしか味わうことのできないものばかり。
実は“食べる”ということも授業の一環で、毎食テーマがありました。ある時は“ひと時を分かち合う”というテーマでランチ、“食器と赤ワイン”というテーマでディナーを頂きました。先生とともにテーブルを囲み、ワイングラスの持ち方やシャンパンの泡のお話、ワインと料理について話しながらの食事は、毎回新鮮な驚きと喜びでいっぱいで、食事の時間を共有することの大切さを実感しました。
地元ならではの食材を活かした料理。 |
毎回ピュイゼ氏が料理に合わせてセレクトしたワインが出てきました。 |
4日目のランチは日本食を作りました。ピュイゼ氏のお気に入りは「鶏のつくね」。 |
4日目には我々が日本の家庭料理を作り、先生やシャトーのシェフとともに頂き、日仏の食文化交流を行いました。受講者の一人が持参した、日本のシンボルの一つである“桜の花”の塩漬けを湯に浸した「桜湯」に、特に深い感銘を覚えたと、おっしゃられ、作り方をメモされていました。
一人一人ピュイゼ氏からディプロムを手渡されました。
5日目午前の講義で、シャトーでの味覚教育研修は終了し、全員にディプロマが授与されました。
そして、最後のランチにはピュイゼ夫人や、地元誌記者も駆けつけ、皆で研修談議を語り、その後名残惜しみながらパリへ向かいました。
味覚週間中のパリでは、幼稚園における「味覚授業」の視察と、国立農学研究所研修室にて行われた特別講演会、フランス及び先進国の食生活の変遷、小児肥満プログラム、学校における味覚教育プログラムの実際についてを拝聴しました。
フランスでは小児の肥満が問題となっていて、REPOP(小児肥満予防プロジェクト)が3ヵ年計画で進められています(昨年は3年目)。幼稚園は2箇所訪問したのですが、そのうちの1校は、味覚の授業とともにREPOPにも積極的に取り組んでいました。
3歳児クラスで調理実習が行われていました。 |
マルシェで子供たちと一緒に果物を買い、それを触ったり切ったり、見たり、嗅いだりしていました。子供たちは興味津々 |
Villeroy & Bochでは味覚週間記念プレートが販売されていました。 |
研修5日間にパリ視察2日間、たいへん多くの収穫があった7日間でした。
日本とフランスの“食育”の違いと、教育者における意識レベルの高さ、積極性を強く感じました。ぜひ、日本の子供教育に関わっている方たちに、より多くの人に、ピュイゼ・メソッドを体験していただきたい。そのような機会がくることを願っています。
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